COLUMN

2021.09.28

汗が肌に与える影響は、予想以上!

外出時、直射日光を浴びてしまうイメージ
季節問わず、外を歩いていると汗をかくことも多いはず。汗には体温調節という大切な役割があります。しかし、汗をかいた後の肌をそのまま放置していると、肌に悪影響を及ぼしてしまうこともあります。
今回は、汗が肌に与える影響や、汗をかいた時の対処法や注意点をまとめました。また、汗をかくことにはメリットもあるので、その解説もしていきます。

【コラム執筆】

木村 眞樹子医師
東京女子医科大学医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。
妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる様々な人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。
総合内科専門医、循環器専門医、睡眠専門医。産業医。

コラム以外の商品などの掲載箇所については執筆しておりません

1:汗の肌に与える影響

「汗をかくと肌を水分が覆って、肌が潤うのでは?」と思う方がいるかもしれませんが、残念ながら間違いです。
実は、汗が蒸発する時に肌の潤いに必要な水分や皮脂膜も奪われてしまうため、かえって乾燥しやすくなってしまうのです。
また、汗には塩化ナトリウムや尿素などの成分が含まれており、それ自体が肌への刺激になってかゆみや赤みなどの肌荒れを引き起こしたり、敏感肌の原因になったりすることがあります。
汗をかいた後そのまま放置していると、さまざまな肌トラブルのもとになる可能性があるのです。

2:きちんと処理をすれば汗は怖くない

前述のように、汗は肌に悪い影響を与えることがありますが、適切な処理をすれば肌荒れはおさえることができます。汗をかいた時の対処法や注意点をご説明します。

・汗はマメに拭き取る

汗をかいた時は、清潔なタオルやハンカチなどでこまめに拭き取るようにしましょう。ごしごしと強くこすると肌を刺激してしまうので注意が必要です。繊維の柔らかいガーゼタオルなどを使って、肌にやさしく押し当てて汗を吸収させるように拭いてください。また、汗を拭いた後のタオルは雑菌が繁殖しやすいので、何枚か替えのタオル等を持ち歩くことをおすすめします。

・過度に洗いすぎることは逆効果

汗をかいた後は、洗顔や入浴で汗を洗い流すことが大切です。ただし、一日に何度もシャワーを浴びたり、洗浄力の強すぎる石けんを使って強くこすったりすると、肌に必要な潤いまで流してしまうため逆効果です。敏感肌の人は敏感肌用や低刺激性の洗顔料などを使うことをおすすめします。

・肌を清潔にした後はたっぷり保湿を

クレンジング イメージ
洗顔や入浴で汗を洗い流すと、さっぱりして気持ちがよいですよね。
さっぱりした後は、顔と体をよく保湿するようにしましょう。洗った後の肌はすぐに乾燥が始まるので、できるだけ早く保湿を行うことがポイントです。化粧水・乳液などを使うと、水分と油分が補えて、かつ、肌から水分が蒸発しないようにフタをすることができます。肌の水分と油分のバランスがとれていると、乾燥しづらく、肌荒れが起きにくくなるというメリットがあります。

・エアコンの使いすぎに注意

「屋外は暑いのに自宅やオフィスなどの室内はエアコンでキンキンに冷えている」ということがありますよね。エアコンが効いた部屋に入ると汗が一気に乾きます。屋外で汗をかき、室内で乾燥する、というのを繰り返していると肌の水分はどんどん奪われてしまい、乾燥しやすくなります。

・紫外線対策を忘れない*1

日焼け対策イメージ
気象庁によると、紫外線は3月から急激に強くなり、5~7月にかけてピークを迎えます。紫外線にはA波とB波が存在し肌にダメージを与え、日焼けや色素沈着、乾燥などさまざまな肌トラブルを起こす原因になります。紫外線が強い時期は特に紫外線対策をしっかりと行いましょう。*2
効果的な紫外線対策はUVケア化粧品をこまめに塗ることです。
その際に、気をつけたいことは、用途に応じたUVケア化粧品の選び方です。
UVケア化粧品を見ていると、紫外線A波を防ぐ効果の指標PAと紫外線B波を防ぐ効果の指標SPFの表示を見かけると思います。
買い物や散歩などの日常生活時と、アウトドアのレジャーやマリンスポーツをしている時では、求められる紫外線防止効果の強さも変わりますので、自分に合ったものを選ぶといいでしょう。朝のゴミ出しなどちょっとした外出でも紫外線のダメージは受けますので、忘れずにUVケア化粧品を塗りましょう。日傘やUVカットの衣服なども取り入れると、さらに効果的です。

3:運動によって汗をかき、肌をキレイにしよう

スポーツ イメージ
ここまで、汗が肌にもたらす影響や、汗をかいた時の対処法などを確認してきました。しかし、汗をかくことは肌にとってメリットももたらしてくれます。

肌の表面には “美肌菌”とも呼ばれる表皮ブドウ球菌が存在します。
表皮ブドウ球菌は、皮膚のバリア機能を保つグリセリンや、黄色ブドウ球菌の増殖を防いでくれる抗菌ペプチドを作り出す働きをしてくれます。この表皮ブドウ球菌は汗に含まれる成分を餌としているため、適度に汗をかくことは肌をキレイにする効果もあるといえるでしょう。*3

また、よく運動や入浴をしている人の汗はサラサラとしていて、ニオイが少ないのが特徴です。これはいわゆる「いい汗」というもので、汗腺がしっかりと機能していて、不純物がほとんど含まれていない証拠です。汗には体内の老廃物や毒素を外に排出するデトックスの役割もあり、むくみにくい体づくりにも効果があります。

大切なのは「いい汗」をかきやすい体質にすること。普段からウォーキングやジョギング、エクササイズなど適度な運動を行ったり、湯船に浸かって入浴したりしてしっかりと汗をかき、代謝をアップしてキレイな肌を目指しましょう。

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